糖尿病
疾患概要
食事で摂取した糖は、小腸で吸収され、血中に移動します。増えすぎた糖はすい臓から出るインスリンというホルモンによって減り、血中の糖のバランスが保たれているのです。このインスリンの働きが悪くなると、血中の糖の量が増え、高血糖といわれる状態になります。これが進行し、常に血糖値が高い状態が保たれてしまうことを「糖尿病」と呼びます。
原因
糖尿病は2種類に分類され、原因も異なります。
患者さんの割合でいうと、2型糖尿病のほうが多くいらっしゃいます。特に、日本人は欧米人と比べてインスリンの分泌量が低いため糖尿病を発症しやすく、軽度の肥満、もしくは肥満体型でなくても糖尿病を発症する場合もあります。
症状
のどの渇きや排尿回数の増加、疲れやすさ、目のかすみ、脚のしびれなどが挙げられます。進行して極端にインスリンの分泌量が減ると、脳は筋肉や脂肪を分解してエネルギーに変えるよう指示を出すことから、急激に体重が減少することもあります。
糖尿病には三大合併症といわれる症状があり、それらは頭文字をとって「しめじ」で覚えることができます。
しめじ
し…神経障害。手足のしびれや立ちくらみ。進行すると脚が壊死してしまうこともあります。
め…目の網膜症。視力低下を起こし、最悪の場合は失明してしまいます。
じ…腎臓の機能低下。血液をろ過する機能が弱まり、進行すると人工透析を受けなければなりません。
血糖値が高い状態が続くと血管が傷つき、毛細血管がダメージを受けることで神経障害や腎臓の機能障害が起こります。また、太い血管も同様に傷つきますので、脳梗塞や心筋梗塞、末梢動脈疾患、心不全などの重大な合併症を引き起こします。
診断と治療
採血検査で空腹時の血糖値と赤血球中のヘモグロビンと糖との結合具合(HbA1c)の値を調べるほか、75gブドウ糖負荷試験と呼ばれる検査を受け、体内に糖が入った時の反応も調べながら診断します。
診断基準
①早朝空腹時血糖値:126mg/dL以上
②随時血糖値:200mg/dL以上
③75gOGTT2時間値:200mg/dL以上
④HbA1c:6.5%以上
下記を診断します
①~④のいずれかが確認されたら糖尿病型
①~③のいずれかと④が確認された
or
①~④のいずれかが2回確認されたら糖尿病
と診断します。
診断された場合は、インスリンの分泌を促進したり、糖吸収を抑えたりする薬を服用するほか、インスリンを注射器で体内に注入するなどの薬物治療を行います。
そのほか、1週間に150分以上(1日30分程度を複数日に分けて行う)の有酸素運動を取り入れる運動療法や、適切なカロリー摂取量を厳守する食事療法なども並行します。
食べ過ぎは糖尿病の大きな原因になりますが、反対に日頃から適切な食事量と運動を意識していれば十分に予防できる病気でもあります。家族歴も大きく関わる疾患ですので、親族に糖尿病患者がいらっしゃる方は、日頃の生活習慣に特に注意する必要があります。