心筋梗塞

疾患概要

心臓の筋肉を養う血管を「冠動脈」といいます。これが血栓などによって完全に詰まってしまうと、血液の流れが途絶え、心臓の筋肉に酸素と栄養が届かなくなります。そうなると、詰まった部分の筋肉は壊死し、機能しなくなります。それによって、詰まった部分の心臓の動きが悪くなってしまった状態のことを心筋梗塞と呼びます。

原因

ほとんどが動脈硬化によるものです。脂質過多な食生活や家族歴などによって血中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪が増加し、冠動脈の壁に脂質が蓄積することによって、血管が硬くなったり、血液の通り道が狭くなったりすることで起こります。狭心症と心筋梗塞を起こす原因は同じですが、心筋梗塞の方が症状は重くなります。

実は、日本人はもともと心筋梗塞を発症しにくいといわれています。WHOによる国別の調査によれば、国別の虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の死亡率(人口10万人対比)は、最高値のウクライナに比べるとかなり低いという結果が出ています。これは島国ならではの魚食文化が影響していると言われていますが、近年は食の欧米化が進み、肉やファストフードなど脂質の多い食べ物の摂取量が増える傾向にあるため、心筋梗塞の発症率も高まる恐れがあります。

症状

重症感のある激しい胸の痛みや呼吸困難、冷や汗、吐き気などが挙げられます。狭心症は15分以内で症状が治まることが多いのですが、心筋梗塞は30分程度と長続きすることも特徴です。

一方で、前兆がなく突然発症する場合もあり、自覚がなくても健康診断の心電図検査を受けた時に、実は心筋梗塞を起こしていることがわかった、ということ方もいらっしゃいます。また、糖尿病で神経障害を発症している患者さんは、健康な方よりも発症リスクが高いにもかかわらず、痛みに鈍くなっているために前兆に気づくことができないこともあります。

診断と治療

心臓の筋肉が壊死しているかどうかは心電図検査によってわかりやすく判別できるため、心筋梗塞の発見に有効です。また、壊死した心臓の筋肉から出るタンパク質「トロポニンT」や酵素「クレアチンキナーゼ」が血中に含まれているかどうかを調べるため、採血検査も行います。

発症している場合は、血液をサラサラにする薬や痛み止めの麻薬などを投与しますが、緊急性を要する場合は冠動脈バイパス手術などの外科手術が必要になります。発見と治療が遅れてしまうと死に直結する病気ですので、これまで感じたことのないような胸の痛みや息苦しさを感じた場合は、迷わず救急病院へ向かうことをお勧めいたします。

一覧へ戻る

関連する症状・病名