高血圧

疾患概要

そもそも血圧とは、血流が血管の壁を押す力のことです。血圧値には「上(収縮期血圧)」と「下(拡張期血圧)」がありますが、上は心臓が血液を送り出す時、下は心臓が送り出した血液を溜める時の圧力を指します。原因は後述のとおり様々ありますが、代表的なものとして塩分のとりすぎが挙げられます。日本人は世界の中でも食塩摂取量が多いとされ、国民の3人に1人が高血圧と言われるほど患者数が多い疾患となっています。

原因

高血圧は主に、様々な要因が絡んではっきりとした原因が特定できない「本態性高血圧」と、睡眠時無呼吸症候群やホルモン異常などによって起こる「二次性高血圧」に分類されますが、ほとんどが本態性高血圧です。

本態性高血圧を招く要素

  • 塩分摂取過多
  • 家族歴(遺伝)
  • 喫煙歴
  • 肥満
  • 運動不足
  • ストレス など

症状

高血圧による直接的な自覚症状はほぼありません。しかし、高血圧によって血管に強い力がかかり続けると、血管の壁は硬くなり、動脈硬化を引き起こします。その合併症として、生命の危機にも繋がるさまざまな病気を誘発することから、高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれています。

動脈硬化が引き起こす疾患

  • 脳出血
  • 脳梗塞
  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 心不全
  • 解離性大動脈瘤
  • 腎不全 など

診断と治療

血圧は緊張により上下するため、診察室で測る時と、家庭で測る時とでそれぞれ基準値が設けられています。

この数字を超えると、高血圧と診断されます。しかし、一時的な数値で判断することは難しいため、24時間血圧計を装着して1日の血圧の変動を測定して様子を見る場合もあります。

また、高血圧の診断された場合、合併症のリスクを判断するため、心電図やエコー、胸部レントゲン、血液検査、尿検査を行うこともあります。

 

高血圧と診断された場合、服薬治療が主となります。血管を広げて血圧を下げるカルシウム拮抗薬、血管を収縮させる体内の物質をブロックして血圧を下げるARB、ACE阻害薬、血管から食塩と水分(血流量)を抜いて血圧を下げる利尿剤、心臓の過剰な働きを抑えて血圧を下げるβ遮断薬などを用います。

さらに、生活習慣の改善を並行して行うことがとても大切です。高血圧の予防・治療において、1日の塩分摂取量は6g未満に抑えることが必要とされていますので、日々の食事を見直し、減塩を徹底しましょう。さらに、定期的な有酸素運動を行う習慣をつける、適正体重を維持する、節酒・禁煙することなども重要です。

 

高血圧の中には、家庭で測ると正常なのに、診察室で測ると緊張して血圧が上がってしまう「白衣高血圧」と、家庭では血圧が高いものの、服薬の効果などにより診察室では低い数値が出る「仮面高血圧」もあります。そのため、自身の血圧を把握するためには、日常的に家庭で測定することが必要です。朝と夜、毎日同じ時間に2回ずつ測定し、その平均値をとります。朝は排尿後・服薬後、夜は入浴後1時間以上あけて就寝前に、リラックスした状態で測定しましょう。

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