肝臓がん

肝臓がんとは

肝臓がんは、肝臓から発生する「原発性肝がん」と、他の臓器から転移してがんが発生する「転移性肝がん」に分けられます。原発性肝がんには主に、肝細胞ががん化した「肝細胞がん」と、肝臓の中にある胆管ががん化した「肝内胆管がん」の2種類がありますが、ほとんどは肝細胞がんです。ここでは、肝細胞がんについて解説します。

男女計の部位別がん罹患数でみると上位には入らないものの、死亡数でみると第5位となります。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれることから、発見の遅れが死亡率の上昇につながると考えられています。

性別では男性が多く、年齢別でみると50歳前後から患者数が増加し、特に80歳以上に多くみられます。

症状

初期の肝臓がんでは、自覚症状はほとんどありません。健康診断で肝臓の数値に異常が出ているものの、症状がないからといって放置した結果、実は肝臓がんだったというケースも珍しくはありません。
進行していくと、食欲不振や全身の倦怠感、腹部の痛み・しこり・圧迫感、腹水、むくみ、黄疸などの症状が出てきます。

原因

肝炎ウイルスへの感染

B型肝炎、C型肝炎ウイルスに感染することによって、肝細胞で炎症が続くとがん細胞が発生してしまいます。ウイルス由来は肝臓がんの原因でもっとも多いのですが、近年は肝炎ウイルスへの治療法が進歩してきたため、割合は減少してきています。

長期にわたる多量の飲酒

飲酒による多量のアルコール摂取は肝臓の機能を低下させ、その習慣が長く続くと肝臓がんの原因になります。

肥満や糖尿病、脂質異常症によって起こる脂肪肝

飲酒習慣がない方でも、食生活の乱れや運動不足によって非アルコール性脂肪肝となり、それを放置しておくと肝臓がんになる恐れがあります。

肝硬変

肝臓が慢性的に炎症を起こして硬くなっていくと、機能低下とともに肝臓がんが発生しやすくなります。前述のウイルス由来の肝臓がんが減っている一方で、生活習慣の乱れによる肝機能障害(脂肪肝)が原因で肝臓がんに罹患する人が増えています。

検査と治療

肝臓がんの疑いがある場合は、腹部超音波検査(腹部エコー)やCT検査、MRI検査などによって状態を詳しくみていきます。同時に、血液検査(腫瘍マーカー)の数値も見ながら、がん細胞の有無を鑑別していきます。
肝炎ウイルスに感染している場合、がん発症のリスクが大きく高まります。ウイルスの有無は血液検査で判断することが可能で、ですので肝機能異常を指摘されたらまずは医療機関を受診しましょう。炎ウイルスを治療することが肝臓がんの予防につながりますので、まずはご自身の状態を知ることが大切です。
肝臓がんの治療には外科的手術やカテーテルによる肝動脈塞栓術、ラジオ波凝固焼灼術、抗がん剤投与、放射線治療などがあります。状態によっては肝移植を行うこともあります。
ウイルス検査だけでなく、禁酒や食事・運動習慣の見直しなどは、肝臓がんの予防に大きな効果が期待できます。手遅れの状態にならないよう、定期的に健康診断を受診し肝機能の数値を調べるとともに、健康的な生活習慣を身に着けるよう心がけましょう。

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