下痢症・便秘症
疾患概要
下痢症とは、1日に3回以上、軟便や水様便を排泄することをいいます。一方、便秘症は、本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない(週に3回未満の排泄、いきまないと排便できない、排便はできても残便感がある)状態のことをいいます。
原因
下痢症の原因はさまざまです。細菌・ウイルス・寄生虫などに冒されることによって生じることもあれば、辛いものや脂っこいものの摂取・アルコールやカフェインのとりすぎによる消化不良、ストレス、身体の冷えなどがあります。
便秘症では、食物繊維の摂取不足や無理なダイエットなどによる食事量の減少、ストレス、運動不足、月経や妊娠・出産によるホルモンバランスの乱れなどがあります。また、明確な発症の原因はわかっていない過敏性腸症候群においては、下痢・便秘どちらも生じることがあり、下痢と便秘を繰り返す方もいらっしゃいます。
いずれにせよ、大腸の状態が深く関係する症状ですので、大腸ポリープや潰瘍性大腸炎、大腸がんなどが原因で起こっていることもあります。慢性的に下痢・便秘に悩んでいる方は、いつものことだから…と放っておかず、原因を探っておくことが大切です。
診断と治療
感染性(急性)の下痢に対しては、細菌が原因であれば抗菌薬を投与しますが、なにより大事なのは排泄によって細菌やウイルスを外に出すことです。そのため、投薬せず自然治癒をめざすこともあります。下痢によって脱水症状を起こさないよう、点滴による輸液を行います。
慢性的な下痢・便秘に対しては、下部(大腸)内視鏡検査や腹部エコー、CT検査を行います。原因を特定した後、投薬治療においては整腸剤を用いるほか、便秘の場合は下剤を服用することもあります。また、食事の見直しを中心とした生活習慣の改善も効果的です。