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「1日7,000歩」で未来が変わる!歩かない生活が招く健康リスクとは?

 通勤時間を短く、移動も最小限に――そんな生活が続く中、「一日にどのくらい歩いていますか?」と尋ねると、
2,000歩以下という声も珍しくありません。しかしその“歩かない生活”こそが、健康寿命をじわじわと削っているかもしれません。

 最近発表された国際的メタ解析研究では、1日7,000歩を目安に歩く人は、それ以下の人に比べて全死亡リスクが47%も低下することがわかりました(The Lancet Public Health 2025)。
特に、がん死亡は37%、糖尿病14%、うつ症22%、認知症38%と、多方面にわたる病気のリスクを下げる効果が示されています。これまで「1日1万歩」が理想とされてきましたが、無理のない範囲で「毎日7,000歩程度」を継続するだけでも十分な健康効果が得られるという事実は、多忙なオフィスワーカーの皆さんにとって心強い情報です。

 歩行の健康効果は「筋力の維持」や「体重のコントロール」だけにとどまりません。歩くことでふくらはぎの筋ポンプが働き、心臓への静脈還流が促進され、血圧や血糖の安定にも貢献します。また、海馬などの脳部位が刺激され、認知機能の改善やストレス軽減、さらには創造性の向上も報告されています。一方、1日あたりの歩数が3,000歩未満では、筋骨格系や代謝系の活動が著しく低下し、骨密度の低下やサルコペニア、さらにはインスリン抵抗性の悪化が懸念されます。これが生活習慣病や心血管疾患の温床となり、加齢とともに“加速度的に”症状が現れてくるのです。

では、具体的にどう習慣づければよいのでしょうか。理想は「こまめに歩く」を生活に埋め込むことです。たとえば、
・通勤の際に1駅手前で降りて歩く
・昼休みに10分間、外の空気を吸いながら散歩する
・電話中は座らず歩きながら話す
・エレベーターではなく階段を使う
といった小さな積み重ねが、1日7,000歩へと自然につながっていきます。

 さらに「速歩」を取り入れると、心肺機能や代謝改善効果が高まり、より効率的に健康を得られます。1分早歩き、1分ゆっくりを交互に5セット行う「インターバル歩行」は、高齢者や運動が苦手な方でも無理なく取り組める方法です。「歩くだけでそんなに効果があるのか」と半信半疑な方も、まずは1週間、毎日5,000歩、いや3,000歩から始めてみてください。スマートフォンやスマートウォッチの歩数計機能を使えば、ゲーム感覚で継続できます。

 「運動する時間が取れない」という方こそ、“歩く”を意識して生活に組み込んでみてください。10年後の血管年齢や体力、脳のパフォーマンスに大きな差がつきます。さあ、今日から「未来の自分」のために、一歩を踏み出してみませんか。

 

監修
ゆみのクリニック渋谷桜丘
総合内科専門医/循環器専門医 土肥智貴

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