【睡眠時無呼吸症コラムVol.6】 仰向け、横向き、うつ伏せ・・・体位と無呼吸の関係
妻から、「仰向けだといびきも無呼吸もあるけど、横を向くといびきもかかなくなる」といわれるけど、無呼吸症なんでしょうか?
▷ この質問は、週に2.3回は受ける大変多い質問です。この説明には、「体位依存性」というキーワードが重要になってきます。閉塞性睡眠時無呼吸症は睡眠時窒息症であると以前書きましたが、上気道が閉塞しやすい体の向きを想像してみてください。重力の方向を考えれば、仰向け(仰臥位)の時が、舌の落ち込みなどによる気道の狭小化が起こりやすいことが容易に想像できると思います。反対に横向き(側臥位)、あるいはうつ伏せ(背臥位)では、これが起こりにくいことも理解できると思います。これが「体位依存性」のある睡眠時無呼吸症の特徴で、多くは痩せている無呼吸症の患者さんにみられる現象です。検査を行うと、確かに仰向けの時だけ著しい無呼吸になり、横を向くと全く消失してしまう患者さんはよくいらっしゃいます(検査装置には体位センサーが付いていて、寝ているときの体位がわかるのです)。
また、「横向きでしか眠れない」という肥満の患者さんもいらっしゃいます。これは仰向けになると無呼吸になって苦しいため、必然的に横向きになってしまうのです。このような患者さんでは、仰向けの時間が少ないと検査の数値が本来の重症度よりも軽く出てしまう傾向があるので、結果の解釈を慎重にしなくてはいけません。横向きでも止まってしまう患者さんも多数いらっしゃいますが。
では、体位依存性の無呼吸症は無呼吸症なのでしょうか? 残念ながら無呼吸症です。「ずっと横向きで寝ればいいじゃない」と言われる方、ぜひ一度トライしてみてください。必ず寝返りをうってしまいますよ。以前、抱き枕を検査室に持ち込んで、横向きでの無呼吸症の改善度を調べてくれとおっしゃった患者さんがいらっしゃいましたが、途中で離して、仰向けで寝ていました。やはり、全体の重症度や肥満の有無などを総合的に判断して、治療の必要性や治療手段を考えるべきなのです。
世の奥様方は、夫のいびきや無呼吸をさぞかし心配されて、注意深く観察されていらっしゃるのだろうなあと感心する一方、単にうるさくで安眠を妨害されているのを何とかしたいだけなのかも…?
■ ■ 睡 眠 時 無 呼 吸 症 セ ル フ チ ェ ッ ク ■ ■
① いびきをかいていると言われたことがありますか?
はい いいえ
② 睡眠中に息が止まっていると言われたことはありますか?
はい いいえ
③ 息苦しくて目が覚めることがありますか?
はい いいえ
④ 夜にトイレに1回以上起きることがありますか?
はい いいえ
⑤ 何時間寝ても頭がすっきりしない、熟眠感が得られないことがありますか?
はい いいえ
⑥ 起床時に頭痛がありますか?
はい いいえ
⑦ 日中に我慢が出来ない眠気がありますか?
はい いいえ
⑧ 健診で肥満を指摘されたことがありますか?
はい いいえ
⑨ 高血圧・脂質異常症・糖尿病・不整脈のいずれかがありますか?
はい いいえ
⑩ 扁桃が大きいと指摘されたことがありますか?
はい いいえ
ひとつでも当てはまったら、お気軽にご相談ください。
睡眠時無呼吸外来
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