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【睡眠時無呼吸症コラムVol.3】眠くないけど睡眠時無呼吸症?

「無呼吸症では日中に眠くなるというけど、全然眠くない・・・」

 

「もしかして、無呼吸症ではないのでは?」

 

「重症だと言われたけど、治療する必要はありますか?」

 

前回のコラムで、睡眠時無呼吸症の方は日中の眠気を訴える方が多く、そのメカニズムをお伝えしました。今回のコラムでは、まるで反対のことを書いていて「何のことやら?」と思われる方も多いかもしれません。

 

しかし、実際外来では、ひどい眠気を訴える患者さんのほうがむしろ少ない印象を受けます。多くの患者さんは

「家族からいびきや無呼吸を指摘された。」

「自分としては何ともないのだが、家族うるさく言うので仕方なく来た」

というパターンで来院されます。また、検査で重症の無呼吸症と診断されても、眠気とは無縁だとおっしゃる患者さんが多くみられます。

ではなぜ眠気を自覚しないのでしょうか?

 

理由としてはいくつか考えられます。

 

1.眠気への慣れ

これが最も多い印象を受けます。簡単に言うと、「眠い状態しか知らないため、眠くない自分を知らない(忘れている)」ということです。

無呼吸症は徐々に慢性化していき、いつ発症したかは全く分からないことが多いです。発症した時期を「いびきの指摘」があった時とすれば、多くはすでに10年単位で無呼吸症が経過をしています。人間は極めて適応能力の高い生き物ですから、10年という時の中で眠気とうまく付き合う術を見出していきます。

 

診察室でよくある会話です。

患者「眠気は感じません、でも昼寝はします」

医師「昼寝はなぜするのですか? 眠いからではないのですか?」

患者「いえ、習慣ですから…」 

このような患者さんは、無呼吸症に対する治療後3か月程度で、治療前のご自身の眠気を振り返っていただく、明らかに眠かったことを認識する「レスポンスシフト(振り返り効果)」を認めることが多いです。治療前に「眠気への慣れ」についてしっかりお話ししておくことが、治療をきちんと継続するうえで重要と考えています。

 

2.眠気で困っていない

眠気の自覚がない方は高齢者の方に多く、会社勤めの方には少ない印象です。要は「いつでも眠れる環境におり、眠くても困らないから眠気を認識しない」ということです。このタイプの患者さんにも、昼寝を習慣にしている、昼のドラマは途中までで寝てしまうといった、客観的には眠気を感じていると思われる生活パターンがしばしばみられます。それでも本人は「眠くない」とおっしゃいますので、生活パターンにまで踏み込んだ問診が重要になります。レスポンスシフトを認めることも多いので、治療開始後しばらくしてからの眠気の再評価も重要ですね。

 

3.本当に眠くない

多くは、心疾患、脳血管疾患などをもつ高齢者の方に多くみられます。なぜ眠くならないか不明な部分も多いのですが、高齢者は睡眠自体を必要としなくなることや、基礎的な疾患と相まって、むしろ不眠を訴えることが多いことが報告されています。(無呼吸症は眠くなりすぎてしまう、すなわち「過眠」です)。

このような患者さんは、無呼吸症の治療への反応が悪いことが多く、治療継続のむずかしさが指摘されます。眠気以外の無呼吸症の心臓や脳への悪影響を考えると、継続して頂きたいのですが、継続していくうちに「あれ?そういえば昼寝いらなくなった。」なんてことが出てくることのです。

 

眠気一つとっても、人それぞれです。

「昼間眠いですか?」で終わらせてはいけないのです。

当院では自宅で行える睡眠時無呼吸症の簡易検査をおこなっています。

また、当法人のゆみのハートクリニック(高田馬場院)では入院(1泊)して行う終夜睡眠検査もおこなっております。

気になる方は是非一度ご相談ください。

 

睡眠時無呼吸外来

月~金:10:00~13:00、15:00~20:00

土:10:00~13:00、15:00~18:00

日:10:00~13:00

https://sakuragaoka.yumino-clinic.com/treatment/sas/