• 内視鏡検査

口からと鼻からの胃カメラ検査の違いについて

本格的な冬の寒さを感じる日が増えてきました。インフルエンザも依然として流行していますので、体調を崩されないよう気を付けてお過ごしくださいね。 

 

本日は、胃カメラ検査の挿入方法の違いについてご説明いたします。 

皆さんも

「胃カメラやって辛かった」

「鼻からやったら楽だった」

「眠っているうちに終わっていた」

などの声を聞いたことがあるかもしれません。 

 

胃カメラ検査は、正しくは「上部消化管内視鏡検査」と呼ばれます。主に、食道・胃・十二指腸に内視鏡スコープを挿入し観察をする検査です。 

 

挿入方法としては大きく分けて2通りの方法があります。 

ひとつは、口からスコープを挿入する「経口内視鏡検査」、もうひとつは鼻からスコープを挿入する「経鼻内視鏡」です。 

どちらを選ぶとよいのか、どちらにもメリット・デメリットがありますので、ご説明していきたいと思います。方法を選択する際の参考になればと思います。 

 

経口内視鏡検査 

口からスコープを挿入し検査を行います。スコープを噛んでしまわないように、口にマウスピースを加えていただき、口から喉を通過して食道に挿入していきます。 

 

メリット 

画質がよく、観察性能が高い 

拡大観察ができる 

経口検査の場合、通常は経鼻スコープよりもやや太い9-10mmのスコープを使用します。 

スコープが太い分、カメラの性能が良くきれいな画質で観察することができますので、より病変をしっかりと捉えることが可能です。また、当院では拡大機能つきのスコープを使用していますので、病変を拡大観察することで良性か悪性かの判断がしやすくなります。 

ポリープや早期がんの切除、止血など様々な処置が可能 

病変の生検(組織検査)をしたりポリープ切除などの処置をするときには、スコープの中に処置具を通す必要があります。経口で用いるスコープはやや太いので、様々な処置に用いる器械を通すことができるため、生検だけではなく、ポリープや早期胃がんを切除したり、出血を認めたときには止血処置を行うなど様々な用途が可能です。 

 

デメリット 

■嘔吐反射がでやすい 

挿入する際に舌根(舌の奥のほう)を通過するため、オエッとする感覚(嘔吐反射)や不快感がでやすいというデメリットがあります。特に、歯ブラシを加えただけでも気持ち悪くなる方などは嘔吐反射が強いことが予想されます。 

鎮静剤(ウトウトするお薬)を併用することで不快感は軽減することができます。 

 

 

経鼻内視鏡検査 

鼻に麻酔をして、通りのよさそうな鼻からのどを通過して食道に挿入していきます。5-6mmの細いスコープを使用します。 

 

メリット 

■嘔吐反射がでにくい 

■検査中に会話ができる 

鼻腔から直接のどの奥に挿入するため、舌根を通過せず嘔吐反射がでにくくなっています。また、マウスピースも必要ありませんし、のどの異物感も少ないため、検査中にお話しすることも可能です。 

 

デメリット 

■鼻腔が狭いと痛みがでたり出血する可能性がある 

細いスコープを使用しますが、鼻腔は狭いため、人によっては痛みを強く感じたり、スコープの接触によって鼻血がでたり、そもそも奥に挿入することができないことがあります。特に、鼻の手術をされた方や女性は鼻腔が狭かったり曲がっていたりする傾向があります。 

■可能な処置が限られている 

スコープが細いため、使用できる処置具が限られています。生検(組織検査)は可能ですが、ポリープやがんの切除などはできません。 

■画質の精度がやや劣る、拡大観察ができない 

従来、経鼻に用いる細いスコープは経口用のスコープに比べるとずいぶんと画質が劣っていたため、詳細な観察がしにくいというデメリットがありました。しかしながら近年開発された経鼻スコープは、画質もほぼ劣らないほどに改良されています。当院でも最新の経鼻スコープを導入しているため、経鼻でも精密検査をお受けいただくことが可能です。 

拡大観察機能はないので、すでに病変がみつかっていてより詳細な検査をしたい時には向いていません。 

 

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スコープを挿入する際には、経口内視鏡は喉に、経鼻内視鏡は鼻に、それぞれの麻酔スプレーを用いて局所の麻酔をします。

この麻酔によって喉や鼻の違和感を軽減することができます。

 

 

内視鏡に用いるスコープは年々改良され、以前に比べるとかなり画質がよく、様々な機能も付随されるようになりました。 

 

 

クリニックで内視鏡検査をお受けになる方は、症状があって内視鏡検査をすすめられた、検診でひっかかってしまった、定期的に検査している、などといった理由で検査をお受けいただくことが多いと思います。

その場合、まずは観察をして、必要であれば生検を行う、という検査が中心となると思いますので、当院で使用するスコープは経口も経鼻もどちらも検査性能には遜色ないと考えております。 

 

なるべく苦痛のない検査をお受けいただきたいと考えておりますので、鎮静剤(眠くなるお薬)を使用したり、鎮静剤を使用しない方は経鼻内視鏡を選択していただくと楽にお受けいただけると思います。 

 

経鼻に用いる細いスコープを経口内視鏡に用いることもできますので、検査方法に関しては気軽にご相談ください。 

 

ゆみのクリニック渋谷桜丘

小林 亜也子